The End of Men

2025年、男性のみに感染する致死性の感染症がスコットランドで発見された。現地の医師アマンダ・マクリーンは即座に警告を発したがヒステリーだとして無視された。瞬く間にウィルスは世界へ広がり最悪のパンデミックが発生した。世界の男性の90%が死亡した。世界人口は半分になり女性社会になる。

物語は第一発見者のアマンダ、社会歴史学者のキャサリン、諜報機関アナリストのドーン、ワクチンの研究者のエリザベスら、複数の女性の視点で語られる。パンデミックの始まりから収束までの時系列の報告というスタイルは、ゾンビ小説「WORLD WAR Z」に強い影響を受けたものだ(あとがきで著者がそう告白している)。

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Monsters

震えた。70年代にコナン・ザ・バーバリアンやウルヴァリンを手掛けた大御所コミック作家バリー・ウィンザースミスが35年間をかけて描いたライフワークを遂に出版。大判380ページのグラフィックノベル。精神性、哲学性、社会性のどれにおいても底知れぬ深みがある。凄まじいパワーを持つ傑作だ。昨年の最高作品に選ぶファンもいる

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Kanazawa

日本在住のアメリカ人作家デビッド・ジョイナーが金沢を舞台に英語で書いた小説。泉鏡花にインスピレーションを受けて書いたという。日本人の作家が書く作品以上に日本文学らしさを感じた。現代の話なのに昭和の雰囲気が漂う。英語で読んでいることを忘れた。日本人以上に日本文化に傾倒した西洋人による英語の小説を日本人が読む。この珍しい体験が実に魅力的だった。先に述べたような小さな違和感を感じる部分でさえ、英語で読むとむしろエキゾチックな魅力に感じられる。だから『金沢』私にとって5つ星の小説だ。そして猛烈に金沢に行きたくなった。

日本の魅力を再発見できる貴重な英語文学作品。

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Beautiful World, Where Are You

世界最大の読書コミュニティGoodreadsで2021年度のフィクション部門第一位に!世界で最も多くの人に支持された作品。

「社会現象」と呼ばれるほど欧米の若い世代の一部(Z世代+一部ミレニアル世代、主に白人特権層)に支持されているアイルランドの作家サリー・ルーニーの最新作。ブッカー賞候補になった前作”Normal People”は「なんで私は普通になれないんだろう?」と思い悩む10代男女のぎこちない恋と成長の物語だった。

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Piranesi

Women’s Prize for Fiction 2021の超意外な受賞作。女性作家によるものだがフェミニズムの要素はまったくない。ヒューゴー/ネビュラ賞にもノミネートされた見事な奇想の小説だ。小説技法として極めて洗練されている。100手順くらいのカラクリ箱をあけるようなパズル体験ができる。★★★★★

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Crossroads

1970年代のカルチャーがいっぱい登場する。この時代が好きな人にはたまらない。580ページもあるが、NHK朝の連続ドラマのようにテンポよく展開するので長くは感じなかった。キャロル・キングやジェイムス・テイラーのフォークロックが聞こえてくるこの世界にもっといたいと思った。この小説は欠点だらけのヒルデブラント家の人間が、愛と信仰によって人生の危機を乗り越えていくファミリーサーガ。道徳的模範でなければならない牧師の家族が、人間的な弱さから誘惑に負けて道を踏み外す。そこから始まるレジリエンスのドラマ。

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Himawari House

ものすごくよかった。5つ星の傑作ヤングアダルト向けグラフィックノベル。留学生やその支援、英語に関係する人に特におすすめ。アメリカで育ったので日本語がうまく話せないナオ、自由を求めて日本にやってきた韓国人のヘジョン、英語が得意なシンガポールからきたティナ。3人はシェアハウスのひまわりハウスで日本人のシンイチとマサキと共同生活を始める。受験、学校、アルバイト、友情、恋愛、遠く離れた家族の絆…日本に住む留学生たちの青春が日本の漫画のタッチで描かれている。でも日本人漫画家には決して描けない内容だ。

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