Word Power Made Easy

『ワードパワー・メイド・イージー』”Word Power Made Easy” by Norman Lewis, 1949

ノーマン・ルイス先生によるボキャブラリ・ビルダー2冊目。2ヵ月かけて修了。初版1949年のロングセラー。名著だった。英語力間違いなく増強。今は汗でボロボロ。難しい単語を数百語覚えた。派生する数千語を識別可能になった。この本は”Instant Word Power”の続編と考えてよい。扱う単語に共通している部分があるが、語数は数倍に増え、単語レベルは格段に上がっている。英検1級学習に最適。

我々日本人は知らない漢字を目にしたときに、これは魚へんだから魚類だろうとか、さんずいだから水が関係しているだろう、などと部首の知識から推測できる。実は英語でも同じようなことができる。

英語の基本語彙は古英語から来ている。中学で習うIやhaveやtakeみたいな短めの単語だ。一方で長たらしくて音韻が複数の難しい単語はほぼラテン語またはギリシア語に由来する。基本語彙だけでも英語は話せるだろうが、知的な雰囲気を醸し出すラテン系、ギリシア系の語がないと大人の英語にならない。

ラテン系、ギリシア系の単語に接頭辞(Pro, Con, De, In…)や接尾辞(ious, ity, tion…)を組み合わせて単語が構成される。漢字の部首のような法則がある。これを覚えてしまえば未知の単語でもかなり推測が可能になる。高度な英単語は語源知識がマスターの近道だ。

性格タイプ、医師、職業、科学、嘘、行動、話し方、敵、友、日常の事象、起きていること、個人の性格という12のテーマに分かれており、各章で約10の語源から派生する100語くらいの単語が紹介される。初出の単語の紹介→発音と綴りの確認→語源の解説→単語と意味のマッチングクイズ→確認テストを何度も繰り返す。

ノーマン・ルイスは語源コラムが楽しい。たとえばsophomore(大学2年生)という単語はsophos 賢い、とmoros 馬鹿というギリシア語の組み合わせである。2年生は少し勉強したけど未熟だと教える。sophos(賢い)はphile(愛)と組み合わさってphilosophy(哲学)になり、動詞化する接尾辞cateと組み合わさってsophisticate(洗練する)になる。知識人たちが詭弁をふるうようになったのでsophism(詭弁)というねじれた単語も生まれる。こういう話が読ませるストーリーで紹介される。

語源が顕著に効くのが医療用語や学問の名前だ。electroencephalographやsphygmomanometerや、orthopedics:orthofontia:orthalmologistの違いも語源を覚えてしまえば、理解できるだけでなく自ら造語できる。

どの章も最初のパートを読むだけでいくつかのコア単語がインストールされる。あとは派生語を可能な限り覚えていけばいい。前作と違って復習回数が少なく、紹介する単語が大量なので、欲張って全部覚えるのは諦めた。しかしそれでも識別可能な単語が1000から2000増えたような感覚がある。英語学習者にとって素晴らしい学習書である。★★★★★

daiya

デジタルハリウッド大学教授 メディアライブラリ館長。多摩大学客員教授 ・データセクション株式会社顧問。書評家・翻訳者。

コメントを残す