📊 印象操作に使われやすいグラフの手法

データリテラシー向上のための教育的事例集

1. Y軸の範囲を操作する

手法: Y軸の開始点を0以外にすることで、変化を過大に見せる
誤解を招く表示(Y軸: 98〜102)
適切な表示(Y軸: 0〜120)
⚠️ 左のグラフは売上が急増しているように見えますが、実際は約2%の増加に過ぎません

2. チェリーピッキング(都合の良い期間だけを切り取る)

手法: 全体のトレンドを隠し、都合の良い部分だけを見せる
部分的な期間(好調に見える)
全期間(実際のトレンド)
⚠️ 左は成長しているように見えますが、全体では下降トレンドの一部分です

3. 累積グラフで成長を過大に見せる

手法: 月次データを累積で表示し、常に増加しているように見せる
累積表示(常に右肩上がり)
月次表示(実際の推移)
⚠️ 累積グラフは減少することがないため、実際の業績推移が分かりません

4. 円グラフの3D効果による視覚的歪み

手法: 3D効果により手前の項目を大きく見せる
3D円グラフ(歪んだ比率)
A社 30% B社 30% C社 40%
2D円グラフ(正確な比率)
⚠️ 3D効果により、A社(30%)がC社(40%)より大きく見えてしまいます

5. 二軸グラフで疑似相関を作り出す

手法: 異なるスケールの軸を調整して、無関係なデータに相関があるように見せる
⚠️ スケールを調整すれば、どんなデータでも相関があるように見せられます。このグラフは「マーガリン消費量」と「離婚率」という明らかに無関係なデータですが、スケール調整で関連があるように見えます

6. 不都合なデータを「その他」にまとめる

手法: 競合他社を「その他」にまとめて、自社のシェアを大きく見せる
操作されたグラフ
実際のデータ
⚠️ 「その他」に強力な競合を隠すことで、自社が市場リーダーのように見えます

7. 面積や体積で誤解を招く

手法: 数値の差を円の直径で表現すると、面積の差はその2乗になる
売上 100億 売上 200億 直径: 1倍 直径: 2倍(面積は4倍!)
⚠️ 売上は2倍なのに、円の面積は4倍になり、差が過大に見えます

📚 まとめ:データリテラシーの重要性

これらの手法を知ることで、日常生活やビジネスで目にするグラフを批判的に見る力が身につきます。データを提示する際は、誠実で正確な表現を心がけましょう。

💡 重要な補足:相関関係があるように見えても、それが因果関係を意味するわけではありません。 例えば、アイスクリーム売上と温暖化には気温を介した間接的な関係がある可能性がありますが、 マーガリン消費量と離婚率のように、たまたま同じ傾向を示すだけの「疑似相関」も多く存在します。