「みんな、おはよう。今日から5時間かけて、生成AIと上手に付き合う方法を教えるぞ。
まず覚えておいてほしいのは、AIは道具だということだ。包丁と同じだ。上手に使えば素晴らしい料理ができる。でも使い方を間違えれば、怪我をすることもある。」
【基本の心構え】
1. 明確に伝える - 曖昧な質問には曖昧な答えしか返ってこない
2. 具体的に指示する - 「いい感じに」ではなく「○○のように」
3. 対話を重ねる - 一発で完璧を求めない
💡 金八先生のワンポイント
AIに質問するときは、まるで転校生に学校を案内するような気持ちで接しなさい。相手は賢いが、君たちの状況や背景を知らないんだ。
悪い例と良い例
❌ 悪い例:「レポート書いて」
⭕ 良い例:「中学3年生向けに、環境問題について1000字程度のレポートを書いてください。特にプラスチックごみの問題に焦点を当てて、具体的な解決策を3つ含めてください」
「なるほど!相手の立場になって考えるってことですね、金八先生!」
「2時間目は『役割設定』について話そう。
人間だってそうだろう?『君は今日、図書委員だ』と言われれば、図書委員として振る舞う。AIも同じなんだ。役割を与えれば、その役割に応じた答えを返してくれる。」
【役割設定の魔法の言葉】
「あなたは○○です」
「○○として答えてください」
「○○の立場から考えてください」
例:
• あなたは経験豊富な数学教師です
• あなたはプロの料理人です
• あなたは優しい図書館司書です
💡 金八先生のワンポイント
役割を設定するときは、その役割の
特徴や経験年数まで書くといい。「10年の経験を持つベテラン教師」と「新任教師」では、答え方が変わってくるんだ。
実践例
「あなたは20年の経験を持つ進路指導の専門家です。中学3年生の生徒に、高校選びのアドバイスをする際の重要なポイントを5つ教えてください。生徒の個性を大切にしながら、現実的なアドバイスをお願いします。」
「へぇ~、AIに役職を与えるなんて、まるでロールプレイングゲームみたいだ!」
「3時間目は少し難しくなるぞ。『文脈』と『制約』についてだ。
君たちが作文を書くとき、『400字以内で』とか『です・ます調で』という条件があるだろう?AIにも同じように条件を与えることで、期待通りの答えが得られるんだ。」
【よく使う制約条件】
📏 文字数・長さ:「○○字以内で」「3つのポイントで」
📝 形式:「箇条書きで」「表形式で」「ステップバイステップで」
🎯 対象:「小学生にも分かるように」「専門家向けに」
💬 口調:「です・ます調で」「カジュアルに」「厳格に」
🚫 禁止事項:「専門用語は使わずに」「○○は含めないで」
💡 金八先生のワンポイント
制約は
具体的であればあるほど良い。「短く」より「3文以内で」、「分かりやすく」より「中学1年生でも理解できるように」の方が効果的だ。
制約を使った例
「第二次世界大戦について説明してください。
条件:
• 300字以内
• 中学生向け
• 年号を3つ以上含める
• 戦争の悲惨さにも触れる
• です・ます調で書く」
「ほら、これだけ条件を付けることで、AIは君たちが本当に欲しい答えを返してくれるようになる。まるで、地図を渡して目的地まで案内してもらうようなものだな。」
「4時間目は『例示』について学ぼう。
君たちも、新しい問題を解くとき、まず例題を見るだろう?AIも同じで、例を見せてあげると、それに倣って答えを作ってくれるんだ。」
【Few-shot Learning(少数例示学習)】
1. Zero-shot(例なし):
「俳句を作って」
2. One-shot(1つの例):
「例:古池や蛙飛び込む水の音
このような俳句を作って」
3. Few-shot(複数の例):
「例1:古池や...
例2:夏草や...
例3:柿食えば...
これらのような俳句を作って」
💡 金八先生のワンポイント
例を示すときは、
良い例と悪い例の両方を見せると効果的だ。「これは良い」「これはダメ」と教えることで、AIはより正確に理解してくれる。
例示を使った実践
「以下の形式でメールの件名を作成してください:
良い例:
✓【重要】明日の会議時間変更のお知らせ
✓【確認】提出書類について(締切:3/15)
悪い例:
✗ 会議
✗ ちょっと聞きたいことが...
では、『来週の遠足の持ち物』についてメール件名を作ってください。」
「なるほど!お手本を見せるって、後輩に教えるときと同じですね!」
「さあ、最後の時間だ。今日の締めくくりは『思考の連鎖』について話そう。
難しい問題を解くとき、君たちはいきなり答えを出すんじゃなくて、一歩一歩考えていくだろう?AIにも同じように、段階的に考えさせることができるんだ。」
【魔法の言葉:「ステップバイステップで」】
通常の質問:
「1234 × 5678 を計算して」
→ 7006652
思考の連鎖を使った質問:
「1234 × 5678 を計算してください。
計算過程も含めて、ステップバイステップで説明してください」
→ 計算過程が明確になり、検証可能に!
💡 金八先生のワンポイント
複雑な問題ほど、
「まず」「次に」「最後に」という言葉を使って、順序立てて考えさせることが大切だ。まるで、料理のレシピのようにな。
Chain of Thoughtの実践例
「あなたは経験豊富な進路カウンセラーです。
以下の生徒の進路相談に乗ってください:
生徒情報:
• 中学3年生
• 数学が得意、国語が苦手
• 将来はゲーム開発に興味がある
以下の順序で考えてください:
1. まず、生徒の強みと興味を整理
2. 次に、適した進路の選択肢を3つ提示
3. それぞれのメリット・デメリットを説明
4. 最後に、今から準備すべきことをアドバイス」
「どうだ、みんな。5時間かけて、生成AIと上手に付き合う方法を学んだな。
最後に一つ、大切なことを言っておく。
AIは便利な道具だが、それに頼りきってはいけない。自分の頭で考え、自分の心で感じることを忘れるな。
AIが出した答えは、あくまで参考だ。最終的に判断し、責任を持つのは君たち自身なんだ。
さあ、これで今日の特別授業は終わりだ。みんな、AIと良い付き合いをしていってくれ!」
「金八先生、ありがとうございました!AIって、正しく使えばすごく頼もしい相棒になるんですね!」